帽子のえらびかた
自分は帽子が似合わない、と感じている人は多いようです。確かに世の中にはどんな帽子でも似合ってしまう人はいる気がします。
でもその反対の、どんな帽子も必ず似合わない、という人、そんな人はいませんから!(強調!)
顔や雰囲気に合っていて、かぶり心地がよければ満点。
そんな帽子に出会えたらいいですね!
似合っているかがわからなければ身近な人に聞くのがいいかと思います。
でも、あまり帽子をかぶったことのない人なら、帽子をかぶった姿を見慣れないために、本人も周りも“似合っていない”という判断を下しがちなので、少し寛大な目で眺めてみるようにしてください。
一度帽子売り場で片っ端からかぶってみるのがおすすめですが、そういうわけにもいきませんよね。
ということで、お客様からきいた声や今までの経験から感じたことなど、帽子選びに参考になりそうなことをいろいろ書きつづってみます。
聞きなれない言葉もあるかと思いますが帽子の用語集として、良く出てくる言葉たちをまとめましたので、を先にお読みくだされば理解が早いと思います。
関連リンク)帽子の用語集
ヘッドサイズの測り方
まず、ヘッドサイズの測り方をご案内いたします。本によって測り方が異なりますが、ここでは一番深くかぶった状態の測り方とします。
眉間より1センチ上にメジャーの下端がくるようにし、耳の上端を通る頭の周を測ってください。
測るとき、余裕としてメジャーと頭の間に指1本いれてください。
それで出た数字がヘッドサイズとなります。
これは帽子を選ぶために必要な、余裕を含んだサイズです。
出た数字にさらに余裕を入れると大きくなりすぎますので注意してください。
*便宜上指を入れると書きましたが、ふわっと測ることができるのなら必ずしも指を入れる必要はありません。
帽子の選び方のポイント〜頭の形編
ハチが張っている人
ハチ(鉢)とは本来頭の一番長い周をさすようです(鉢巻、はちあわせ、というコトバがありますね。)が、今は正面からみたときの頭の横部分をさすようです。そこが出っ張っていることを、「ハチが張っている」と表現します。
ハチが張っている、とお悩みの方は多いですが、ハチは実は少し張っている方がいいのです。
(その部分があまりない、頭がとがっている感じの人も帽子のかぶりごこちが悪いと感じています。)
しかし張りすぎている人は、帽子をかぶると、きつい、苦しい、という人が多いです。
2枚はぎクラウンは頭まわりに余裕のあるデザインなのでこれを基本に、なるべく上がすぼまっていないものを選びましょう。
まずはクラウンが円筒形ぽい、サファリハットがおすすめ。
女性なら、この形をベースにしてクラウンにギャザーを寄せていたり、いろいろかざりがくっついているような作りこんだものもおすすめです。
6枚はぎ、8枚はぎでも余裕のあるデザインは作れます。
キャスケットやベレーなど、もともとクラウンに余裕のある帽子も試してみてください。
ハチが張っていてかつ額の広い人は、出っ張り部分で帽子の高さをとられてしまうので、市販の帽子が浅いと感じる方が多いです。
クラウンの高さが十分にあるものがいいです。
一般的に中折れ帽は高さがあるので、あまり上がすぼまっていないやわらかめの中折れ帽なども試してみてください。 また、ハチの張っている方はハンチングが似合う場合が多いです。
浅過ぎないものを試してみてください。
額が狭い人
帽子を作る道具たちで木型をご紹介していますが、あの基本の丸クラウンの形というのは比較的額が広くて壁のようにまっすぐな人のシルエットです。頭があの形に近い人はあまり帽子に苦労していないようです。
日本人には意外に多い額がせまい人、また、額がうしろに急激に傾いている人は市販の帽子のクラウンは深すぎると感じているようです。
そういう方はクラウンがあまり硬くない帽子を選んでください。
適度に、(そしてできればおしゃれに)つぶれてくれる帽子の方がいいです。
女性なら、このようにクラウンが浅くてブリムが長いデザインの帽子があるのでこういうものもお試しください。
そういう帽子はたいていブリムが下向きなので、クラウンとブリムのつなぎ目のライン(=サイズ元)があいまいになりクラウンの浅さが目立ちません。 前ブリムを折り上げてかぶるとさらによいと思います。
注意が必要なのは下向きでないブリムのときです。浅いクラウンに平たいブリムの、たとえばカンカン帽やキャップなどはかぶると頭がぺちゃんこに見えてしまいます。
その場合クラウンが浅めでも、クラウンの土台にふんわりとした布がのっているようなデザインの帽子だとぺちゃんこ感は薄れます。
ゼッペキの人
頭のうしろのふくらみが少ない人です。かぶっているうちハンチングやキャップが前のほうにずれてくることがあるようです。
女性ならこのように、ハンチングを前後ろにして、ブリムをつけたような帽子はかぶり心地がいいようです。
6枚はぎクラウンは頭にフィットするフォルムを作りやすい型紙です。
頭のうしろのふくらみが少ないとかハチが張っていないなど、頭がとがっている感じの方は、2まいはぎよりは6まいはぎの方がかぶり心地がいいことが多いようです。
細かくいうと6枚はぎでもカクカクしたものは作れるのですが、そういう帽子は一枚一枚が角ばった形のはずですので、よく見てみて 角ばっていないものを選んでください。
また、キャップ(野球帽)は6まいはぎが多いかと思いますが 正面の2枚にあたる部分だけカクカク見えるようなデザインになっているものだとフィット感もありながら格好もいいようです。
ハンチングの好きな方なら、サイズ元にバンド(立ち上がり部分)があって、ジャストサイズのものを選んだ上で、なるべく後ろがふっくらしたものなら格好いいです。
女性なら髪をおだんごにしてずれをふせぐ工夫をされている方も多いです。
額が広い人
どちらかというと額が狭い人よりは広い人の方が似合う帽子は多いものですが広すぎるという方も、市販の帽子が浅いと感じて困っているようです。クラウンが深い帽子があればそれをかぶればいいのはもちろんですが、たとえば2まいはぎの帽子でクラウン部分に何もないと壁のようになってしまいクラウンの高さを強調してしまいます。
正面から見てクラウンに切り替え線があるもの、 太目のベルトがついたもの、 縦方向にかざりがついたもの、もしくは 大き目のかざりがあるものをおすすめします。
また、布の帽子なら無地より柄があったり、生地自体の織に技のあるものも視線を分散させる効果があります。
これは2枚はぎクラウンの応用です。
サイドクラウンが2つに分かれていて上のサイドクラウンはトップに向かってすぼまっているデザインです。
これだと見た目のクラウンの高さをやわらげる効果がありつつかぶり心地もいいです。
型紙により額のせまい人にもハチの張った人にもいい、 応用範囲の広いデザインなので一度お試しください。
帽子の選び方のポイント〜お悩み編〜
えらが張っている
女性なら、ブリムが大きくてあみだかぶり(うしろにぐっとひいたかぶり方)ができる帽子だと、えらのまわりにふんわりとした丸いラインが出来、いいようです。やわらかい、クラウン大き目のベレーなどもそうやってかぶってみることをおすすめします。
どちらかというとカクカクしたクラウンのものの方がいいです。
男性ならば、上がすぼまっていないタイプの中折れ帽を試してみてください。
あごがとがっている
これもよく聞かれる声です。しかし...あごがとがっているという理由で、似合わなくなる帽子というものはありません。
まずは、何でも試してみてください。
あえて言うならクラウンにボリュームのない方が良いでしょう。
帽子の色や、トリミングなどでキュートな感じは出せます。
頭が大きい
頭が大きいことと帽子の似合う、似合わないは全く関係がありません。しかしながらあえてアドバイスしますと形があいまいな帽子の方が帽子の形に目が行くので大きさが目立たなくなります。
たとえばはじめから左右非対称に型入れしてあるものややわらかめの布の帽子などです。
あまりかちっとしていないものがおすすめです。
あとクラウンが壁のように見えてしまわないように太目のリボンが巻くとか、縦や横に縫い目がある方がいいです。
少し脇道にそれた話をしますと。。
ぴったりサイズのものがない場合、少しくらい(帽子の)サイズが小さくてもかぶることが出来るのは”サイズ元があいまいな帽子”です。
サイズ元があいまいな帽子のひとつにチューリップハットがあります。
また、リバーシブルの帽子もサイズリボンが入っていないのでサイズ元があいまいになります。
クラウンが浅くてブリムが長いタイプの帽子もサイズ元があいまいな帽子のひとつです。
顔が大きい
顔の大きさを気にして、顔を隠そうとしてあまりにも傾斜の急なクロッシェなどかぶると逆効果です。逆に押さえつけるような感じになってしまいます。
顔の大きさが気になる方は、ブリムの傾斜の急過ぎないものを選んでください。
ブリムの右か左が上がっていて反対側が下がっているようなものも、斜めのラインができてきれいですよ。
ブリムの端にワイヤーが入っているもの、ブリムに芯が入っていていろいろな形にすることができるものも便利です。
よく帽子の選び方の指南として、”顔の幅より帽子の幅が狭いものはNG”とあって、つい笑ってしまいます。
要するに頭のサイズより小さいものを無理にかぶるとそうなってしまうわけです。
まずはサイズぴったりのものをかぶるようにしましょう。
また、サイズがぴったりでも顔や頭が大きく見えてしまうものはあります。
頭が大きい、顔が大きいとお困りの方は、是非当ショップを覗いてみて下さい。
頭や顔が大きく見えないようなデザインや工夫をしている帽子がたくさんあります。
オーダーも受け付けていますので、もし気に入った帽子がなければお気軽にお問い合わせくださいね。
顔が長い
顔が長くて帽子が似合わない、という方は、顔が大きくて長い、ということを気にしているようです。その場合は、前項の『顔が大きい』の欄を参照してくださいね。
『えらが張っている』の欄にあるような帽子も試してみてください。
背の高い方なら適度なボリューム感のある帽子が似合います。
女性でも中折れ帽が似合う場合が多いので、是非試してみてください。
顔が長い方はそれにふさわしい高さのクラウンの帽子をかぶってください。特に顔が長くてかつ額がせまいタイプの方はそのようにしてください。
帽子を選ぶ際に気をつけてほしいこと
前ブリムの帽子はブリムの広さに要注意
前ブリムの帽子とは野球帽やハンチングなど前だけにブリム(つば)のある帽子のことです。正面から見たとき、どこからどこまでブリムがあるか、というのを便宜上こちらではブリムの「広さ」と呼んでいます。
ブリムの広さがなくて狭い、かつ硬すぎ、前からみたときのカーブがきつすぎ、という帽子をよく見かけます。(野球選手がかぶっているような感じの帽子です。)
顔が小さい人ならいいのですが、そうでない人はとても窮屈そうに見えます。
広さが十分にあって、あまり硬すぎず、まっすぐよりはゆるやかにカーブしている帽子が良いでしょう。 (左の絵は窮屈そうに見える例のつもりです・・・)
カーキ色の帽子は顔色が悪く見える?
カーキ色とはひとつの色ではなく、迷彩柄に使われている色全般を指します。もともと“土埃”を意味する言葉だそうで、灰色がかった黄土色や深緑、緑がかった灰色、暗いベージュなどの総称のようです。
軍隊の色に使われていることでわかりますが、カーキは敵に見つからないための色、周りの風景に溶け込んでしまう色なのです。
なのでカーキ色の分量が多い帽子を目深にかぶったりすると、顔の印象がなくなってしまいます。(それが目的ならば最適な色ですw)
市販の帽子では綿などナチュラルな素材のカーキ色の帽子、とても多いですが、何にでも合いそうだからという理由でこの色を選ぶのはいけません。
若者ならカッコよくかぶれることもありますが年を重ねた人は要注意!
顔の周りにもってくると顔色が悪く見えることがあります。
アウトドアの帽子などカジュアルにかぶる帽子は特にカーキ色が多いですが、これもよく考えたら何かあった時、見つけてもらうためにもカーキでない方がいいかもしれません。
タウンでカーキの帽子をかぶるならツヤのあるものをおすすめします。
最後に
帽子の選び方として、いろいろ書いて来ましたが、あくまで参考程度に考えてくださいね。あまり真面目に考え過ぎて選択の幅をせばめないように!
帽子の形を中心に書いてきましたが、いろんなお客様に帽子を合わせたりお話したりして思うのは、やはりその方の雰囲気にあった帽子が一番、ということです。
そういう帽子はその方の長所を引き出してもくれます。
かわいい感じの人にはかわいい帽子が、上品な感じの人にはやはり上品な帽子が似合うし、ご本人もそういう帽子が好きなのが面白いです。
色や素材に関して
お客様と接していて感じるのは、色や素材も形と同じくらい重要だ、ということです。場合によっては形の不備(?)を色と素材で補うと、通例では似合わなそうな形でもしっくりくることがあるのです。
帽子は顔に最も近いのに、今まで色や素材についてはあまり語られてなかったと思います。
色については、カラーアナリストという色に関するプロがいらっしゃるので、自分に似合う色を診断してもらってはどうでしょう。
自分に似合う色を知っていると帽子選びも楽になりますよ。
女性なら顔(特に目元、口元)が明るく見える色、男性ならヒゲが目立たない色、というのを目安にして色選びしてみてください。
また、素材にも関わってくる話ですが、その人の持つゴージャス感(と、私は呼んでいます)と、帽子の形や色が釣り合っている、というのも似合う、似合わないの判断基準になります。
私は背が低いからつばが長い帽子は似合わない、などと思い込んでいる方が多いように感じますが、たとえば背が低くてもゴージャス感のある人はつばの長い帽子がよく似合ったりするのです。
つばが長い帽子やクラウンの高いものは形的にゴージャス感のある帽子だと言えます。
また、クラウンが丸いより四角い帽子の方がゴージャス感があります。
ゴージャス感というのは、「“はっ”と目を引く要素」のことです。
ゴージャス感のあるなしというのは良し悪しの問題ではなく、その方の性格やたたずまい、好みから醸し出されてくるものです。また、年齢を重ねると下がるし、お化粧してきれいにすれば上がるといった類のものです。
大胆にも言ってしまえば、 黒やゴールド、光りものが似合う、もしくは好きな人はゴージャス感がある人の場合が多いです。
素材もゴージャスな感じのあるものの方が似合います。
その反対は、どちらかというと染めていない麻や綿などが似合う人です。色も素材も、素朴でナチュラルなものの方がしっくりくるようです。
経験からいうとナチュラル系の人がゴージャスな帽子をかぶっているのを見たことはありませんが、ゴージャス感がある人なのに素朴な感じのナチュラル系の帽子をかぶっている人は意外に多いです。そして自分は帽子が似合わないとおっしゃいます。もったいないことです。
市販の帽子ではナチュラル系が圧倒的に多いので仕方のないことですが、帽子には少しゴージャスな要素がある方がいいのです。
というのはナチュラルな素材だけで作った帽子をかぶると 顔がくすんでしまいがちだからです。 ナチュラル系の人でも、帽子を選ぶときはつやのあるものや明るい色のものも一度試してみてほしいです。
また、すでに持っている帽子にはトリミング(かざり)で少しゴージャスな要素をプラスすることをおすすめします。
黒色の帽子について
黒は帽子となると少し難しい色です。素材により垢抜けない印象にもなる度合いが強いです。
ゴージャス感のある人はつやがあったり、少しラメの入っている黒でもきれいです。
ナチュラル系の人も、もちろん黒い帽子をかぶりたい、とはっきり気持ちが決まっているのならばどんどんかぶってほしいです。
でもナチュラル系の人は黒をかぶってみたい気はするけど“自分に似合うかな〜”と、迷っていることが多いものです。
そんな方にはチャコールグレーをおすすめします。
何にでも合わせやすいし、全身チャコールグレーでもおしゃれ。
チャコールグレーは素材により黄色っぽくなることがあるようなので目で確かめてみて、黄色っぽくないもののほうがきれいです。
また全部黒ではなくベージュやグレーを組み合わせた色使いのものなら印象がやわらかになり、似合いやすくなります。
トリミング(装飾)
帽子には、形、色、素材に加え、トリミング、という要素もあります。トリミングとは、コサージュやリボンといった飾り、いわゆる装飾のことです。
たかがかざりと侮るなかれ。
トリミングで帽子全体の印象が変わることがあります。
例えばコサージュやリボンなどを自分でつけたりするときはトリミングの大きさに注意してください。
恥ずかしいという理由であまりにも小さなものをつけるのは考えものです。
小さすぎるとゴミがついているみたいになっちゃいますよ〜
でもブローチなら小さいものでもOKです。
(大きいブローチは時に重過ぎて布をひっぱってしまいますから。。)
その時は小さくても存在感のある、勝負ブローチにしてくださいね!
市販の帽子では、帽子のボリューム感に対してトリミングが小さすぎる、もしくは手抜きしてい過ぎると思うようなものを見かけます。
そういう目で今持っている帽子をチェックしてみてください。
好きなブローチやコサージュに変える、もしくはプラスするだけでその帽子がぐっと好きになる、ということがよくありますよ。
帽子のえらび方をもっとくわしく知りたい方は 帽子選びが楽しくなる無料メール講座にぜひご登録くださいね!